どうなりたいか、どうありたいかは自分自身が決めればいい
身体を動かすことへの目的、目標、考え方は人それぞれあると思います。
例えば、LIMに通って下さっているお客様の一例を挙げると、こんな感じです。
・老後のために体力をつけたい
・仕事柄、洋服を素敵に着こなす必要があるので身体を整えたい
・ウエディングまでに身体を絞りたい
・一人ではサボりがちになるので、一緒に運動してもらいたい
・仕事疲れで身体がガチガチなのでストレッチでケアしてもらいたい
・今の生活スタイルから抜け出したい
身体を動かすことの目的は色々でいいんですよ。
どうなりたいか、どうありたいかは自分自身が決めればいい。
先日、私の中で非常に納得した出来事がありました。
今、自分自身の身体に迷いがあったり、運動することの目的を見失いかけている人がいたら、
このエピソードが何かしらのヒントになればいいなと思ったので、シェアさせていただきます。
私のクライアントの話。仮に「Aさん」と呼ばせてもらいます。
AさんはLIMでトレーニングを始めて2年が経ちます。
運動を始めようと思ったきっかけは、
・年齢を重ねるに連れて疲れやすくなった。(Aさんは私と同年代の40代半ば)
・昔から運動が得意ではなく苦手意識があるが、これから先も仕事を続けていたくためにトレーニングで体力をつけたい。
初めは筋トレをするための正しいフォームを学ぶことから始まりました。
正しく筋肉を刺激させるには正しい動作を身につけることが必要です。
筋トレをするための準備過程というものがあります。
詳しくは記述していますので是非参考になさってみてください。
トレーニング初期の「筋肉がついたかも!」と実感するあの感じ・・・それ、実は筋肉の増加ではないんです。
さて、苦手意識を持ちながらも、身体機能の仕組みを理解しながら少しずつ出来ることが増えていったAさん。
正しい動作を身につけて、出来ることが増えていくことで、身体を動かすことが楽しくなりました。
それと並行して少しずつ体力がついて来た実感が湧いて来たことも、運動が楽しいと思える要因の一つだと思います。
結果が出る喜び。
いままで代償動作を起こしていたプランクやプッシュアップも少しできるようになり、それが自信につながったと思います。
出来ることが増えて結果が伴ってくると、今度は「出来ないこと」が気になり出します。
そこを追求したくなるものです。
そこもクリアして、さらに出来ることを増やしていきたいという意欲が出るのは当然のこと。
Aさんと私は、これまでクリアできなかった動作を洗い出し、何が必要でどのように鍛えていけば良いのか、その部分としっかり向き合い、それに適したトレーニングメニューを組んでいきました。
私のメニューに必死にしがみ付いて何とか突破口を見つけたいと彼女は本当に頑張りました。
しかし、それと同時に、いままで楽しいと思えていたトレーニングが楽しいと感じられなくなってしまいました。
苦手なものを克服するための「辛い修行」となってしまったのです。
どうにもこうにもクリアできない日々が続き、達成感を得られないことへのストレス、そして自信喪失につながっていきました。
ただ、私の中ではAさんがその「出来ないこと」をクリアするための物理的な解決策と答えは初めから出ていました。
身体を軽くすること。
つまり、体重(脂肪)を減らして自身の身体を無理なく支えられるようになること、そしてインナーを感じやすくさせることでした。
Aさんが「出来ないこと」をクリアしたいと願う場合、Aさんの骨格と身体機能、そして安全性、フィジカル的な評価をするならば体重を軽くすることが正解です。あくまでもフィジカル的な評価です。
身体を軽くする事で、いままで関節への負担から起きていた代償動作を取り除くことが可能になり、その結果、正しいフォームを習得することができます。
そして、Aさんが運動に費やせる限られた時間のことを考慮すると、体重を軽くするには運動と並行して「食事コントロール」が必要不可欠でした。
スランプに陥ったAさんと、今後について話し合う機会を設けました。
まず、Aさんがどうしたいのか、どうありたいのか。そこが一番重要です。
そこを尊重した上で身体と向き合うことが心身ともに健やかでいられるから。
目標や目的は本人が決めればいいのです。
トレーナーはその一助として精一杯尽力するのが役目です。
私たちは仕事上、身体の評価をし、フィジカル的な観点からの意見は伝えます。
ただ、その現状をどう捉えて、判断して、結論を出すのかは自分自身。
Aさんが出した結論は、「身体を動かすことに楽しさを感じるところに戻りたい」でした。
彼女にとって、現在の生活スタイルの中で食事をコントロールしながら身体を変えていくことは、難しいと判断したのです。
その代わり、現状の身体能力の範囲で安全にできるレベルに戻す、ことになります。
その結論を自ら出したAさんは潔いと素直に思いました。
彼女は主体性を持って生きている人なので、非常に彼女らしいと思いました。
そしてちょっとホッとしました。
自分の意志で自分の身体を決める。
「クリアできないことを追求する」ことは間違っていません。
しかし、それによって楽しさと自信を奪われて気持ちが沈んでしまうくらいなら、起動修正した方がいい。
Aさんは挫折したわけではない。
やるだけやって、「自分らしくない」と判断し、結論を出した。それでいい。それがいい。
心身ともに健康でいるために、あえてそこと「向き合わない」という選択肢があったっていいと思うのです。
以前ブログで綴りましたが、私はファッションと社交の場が苦手です。
SNSの「映え演出」も得意ではありません。
克服しようと試みた時期もありましたが、「自分らしくない」と判断してからは、そこと向き合うのをやめました。
ファッションも社交も、自分の味方につけられたなら、きっと今よりもビジネスチャンスは巡って来ることでしょう。でも、試みた結果、自分にはその資質が無いと自覚できたのと、なによりも自分らしくいられないことが分かったので、私なりの形で決着をつけました。
この件に関して綴ったブログ、もしご興味ありましたらのぞいて見てください。
中年の私がいつまでも身体を整えていたいと願う、一癖ある理由のひとつ
日々の服選びに頭を使いたくないから身体を整える論
彼女が考えて出した結論。
今後の目的は「身体を動かすことが楽しいと思えるレベルでキープすること」
だから私は非常に納得しました。
仕事上、フィジカル的な評価と提案はします。そこから先は自身で決めればいい。
また彼女の目標が変わったら、もちろんまたその時は対応します。
いまはそれが彼女の一番の目的なら、そこに向けて全力でサポートしようではないか。
トレーニングをする目的は人それぞれ。
その人が納得できる運動を安全に提供できるよう、これからも勉強していかないと!
と思えた良い機会でした。