トレーニング初期の「筋肉ついたかも!」と実感するあの感じ・・・それ、実は筋肉の増加ではないんです。

トレーニングを始めて2~3週間経った頃、運動動作が上手くできるようになって
筋肉がついたように感じることがあります。

そんなに早く筋肉量って増えるものなのか?
今日はそのカラクリについてお話しします。


まず筋肉量(筋肥大)と筋力と違いについて。
よく混同されがちな二つです。
筋肉量と筋力は相互関係にありますが、イコールではありません。


まず、それぞれこのように定義します。

筋肉量とは、体内にある「筋肉の重さ」のこと。
筋力とは、筋肉が発揮できる力のこと。


筋肉(筋肉量)が無ければ筋力を高めることはできません。
しかしながら、筋肉量が多ければ多いほど筋力を高められるかというと、そうではないのです。
筋力を高めるには後述する「神経系」が深く関与します。

筋肉は裏切らないらしいけど、筋肉って難しいですね。
このブログを綴りながら、表現の難しさを痛感しています。 


(さっそく疲れたので休憩に入ります)






(再開)

少し小難しくなりますが、運動生理学に基づいて説明すると、筋力を高めるには、そのための学習過程があります。
ここでは、「スクワット」の動作を例に挙げて説明します。


学習過程とは大きく分けて①~③に分けられます。

①知覚過程
神経と筋肉の情報伝達を促進させる

スクワットの正しいやり方が分からないとします。
我々トレーナーは、重心のかけ方、正しい姿勢、呼吸方法など、正しい動作を身につけていただくために、視覚や言語の情報によって導きます。


②知覚結合過程
継続的に練習することで正しい動作を身につける

ここでは①で得た情報を基に、スクワットの正しい動作へと近づくための練習を繰り返します。
動作を反復すればするほど、脳は筋との情報交換ができるようになり、脳と筋の情報伝達が多くなります。
言い換えれば「動作を鍛える」ということです。


③自立過程
動作の習得

スクワットの動作が視覚や言語の情報に頼らず自然にできるようになり、使われるべき筋肉の部位を正しく刺激できるようになります。


ここが筋力を向上させるためのスタートラインです。



いままでスクワットができなかった人が、トレーニングを始めて数週間後にスクワットができるようになったとします。いままでよりも楽にできるようになったので「あら、筋力がついたのかも!」と思いますよね?

ところがどっこい。残念ながら、その感覚は筋の増加によってもたらされたるものではなく、神経系の順応効果、学習効果によるものです。
神経と筋が上手く情報伝達できるようになったことでスクワットの動作が楽にできるようになった、というのが事実です。


ただ!
これが非常に大事な通過点であり、この情報伝達ができるようになることで次の工程、つまり、さらなる刺激にも対応できるようになります。
その作業を繰り返すことで筋力は高まり、筋肉は成長していくわけです。



継続は力なり。

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