白靴下の洗礼

私はミディアム丈の靴下の操り方がわからない。
そもそもファッションへの意識と愛が著しく欠けていることについては、このブログで常々語っています。

日々の服選びに頭を使わずに生きて行く手段を自分なりに編み出してからは、気持ちが楽になっているように思えます。

過去ブログ
日々の服選びに頭を使いたくないから身体を整える論


しかし、そんな私でもファッション網に引っかかる時が稀にあります。

某有名ファッションブランドにお勤めで、いつも私のトレーニングを受けてくださっている女性のお客様の私服が素敵なんですね。
ある日、そのお客様がモノトーン系のお洋服に、ミディアム丈の白い靴下をチラッと覗かせるようにして履かれていたんです。白い靴下なんて主張が強いはずなのに、お洋服と馴染んでいて素敵だった。

私もちょっと試してみたい。

そこから、街中で白い靴下をセンスよく履いている人に目が行くようになりました。


お洒落怠慢な私のところへ時々やって来るファッション意欲。それがちょっと嬉しくもある。
白靴下だったら手軽に買えるし、ちょっと冒険するくらいなら良いかなと。

帰り道、無印良品へ立ち寄って靴下を物色。
白靴下といっても色んな素材と丈があるもんだな。
もちろんどれが適切なのか私に判断できるわけがない。

とりあえず「薄手」「ゴムの締めつけ感が少ない」「ミディアム丈」の条件をクリアした白靴下を1足だけ選びました。
3足買えば790円で割安だとレジスタッフの方が案内してくれたのですが、万が一似合わなかった場合、自責の念に駆られる己の姿が目に見えていたので、キャンブルはせずに割高だろうが単品で購入しました。


さて、どの服と合わせればいいんだ?
手持ちの服と白靴下のコーディネートイメージが全く出来ないまま、とりあえず白靴下を手に入れたことへの満足感だけで帰路につき、水通しを済ませ翌日までに乾くように干しました。
まあどうにかなるだろう。イメージは「チラッと覗かせて洋服と馴染んでいる感じ」だ。


因みに、私の仕事着はレギンスにジャストサイズのタンクトップ一枚。
ボディラインが丸見えの姿です。
理由は、「面倒臭いからそれだけしか着ない」です。

さすがにその姿で通勤はできないので、その上に服を身につけています。
現場で着替えるのが面倒くさいので、私の場合「いかに仕事着を中に着たまま通勤できるか」が要となります。
それが私の服選びの基準です。

いいのかね、そんなんで。とは思います。

夏は全く主張のないゆったりサイズのワンピースを、例の仕事着の上から一枚羽織り、フラットサンダルを履くだけ。冬も考え方は同じで「仕事着を隠す服」を買って制服のように着回す。

そんなわけなので、私のワードローブは自分にとって機能的な服しかなく、趣のあるデザインとか、そういうものは皆無だ。


白い靴下を買ったものの、組み合わせ方が分からない。
とりあえず仕事着(レギンス&タンクトップ)を下に着ておくのが前提なので、そこからどうするかが問題。

とにかくいつも通りに仕事着の上からゆったりサイズのワンピースを被り、そして白靴下を履く。
白靴下を履きました。
全くしっくり来ません。


鏡に映った私は、両足首を負傷して白テーピングを巻かれた人でした。




私がイメージしていた、「チラッと覗かせて洋服と馴染んでいる感じ」っていうやつ。それとは対極にありました。

話が違う!白テーピングを脱ぎ捨てて、いつもどおり裸足にサンダルでちょっと凹みながら仕事現場へ向かいました。


電車に揺られながら読んでいた故安部譲二氏の本の内容も頭に入って来ず、「なぜ私が履くとテーピングなのか」と自問自答しながら落ち込み、ちょっと歩み寄ってみただけなのに、「慣れないことするんじゃねーぞ」とファッションの世界から入国拒否された気分になりました。

3足買わなくて良かった。
買った1足は綺麗に洗濯し、世界のKonMariメソッドの通りに畳み、引き出しの奥へ葬りました。

あれから、私が白テーピングに巻かれたしまった理由を少し考えてみました。
私の白テーピングの件を「身体づくり」に例えると、今日まで運動に縁遠かった人が、急な思いつきで高負荷の筋トレに挑んでしまうようなもの。
自分の身体がどういう状態かを理解できていない上に、筋トレの理論も把握していない。にもかかわらず、イメージ先行でトレーニング経験を積んている人と同じメニューから入るようなものなのかもしれない。

筋トレは、正しいフォームの習得と適した関節可動域の確保(柔軟性)があってこそ力を発揮してくれます。
そこをクリアせずして目標達成は考えられません。

白靴下がテーピングになってしまった理由は、私がそれまでの過程をすっ飛ばしているから。
さらっと履きこなせる人は、常日頃ファッションと向き合っていて楽しんでいるはず。
そこまでストイックな向き合い方ではないとしても、その人なりのトライ&エラーだってしているはず。
ファッションを嗜むことがライフワークなんでしょう。

ローマは1日にしてならず。
そんな重い話じゃないけど。

私はそういうプロセスを踏むことなく、邪な気持ちでファッションと向き合ってしまった。
ホントにそんな重い話じゃないけど。

私がストレッチをライフワークとして捉えているのと同じなんだと。
そこまでストイックにやらなかっとしても常に身体の調子を探っている。全然苦じゃない。
お洒落好きさんもそういうことなんだと。

白靴下の履きこなしは、いまの私にとって難易度が高いのだと思います。
もし私が白い靴下を操れるようなオンナになりたいと思うのなら、もっとマクロな視点で自分とファッションを見つめなければいけないんでしょうね。

白靴下の洗礼を受け、思いがけない形で身体づくりのプロセスの大切さを再確認できました。

前へ
前へ

足(距腿)関節の背屈

次へ
次へ

台風19号に備えてスーパーで買い出し