人生はセカンドチャンスに溢れてる
観たかったテレビ番組をうっかり見逃してしまった。
後悔の念に駆られていたら、なんと再放送があると友人が教えてくれた。
「人生はセカンドチャンスに溢れてるわ!」
これはその時に友人が放った言葉でした。
テレビ番組を見逃したくらいで大袈裟かもしれないが、この言葉がずっと頭に残っています。
本人は面白おかしく言っただけだったと思う。
人生はセカンドチャンスに溢れてる。
納得がいく。これを言い放った彼女自身こそ、セカンドチャンスを逃さなかった人だからだ。
彼女の仕事はある分野の専門職。スキルも実績も文句なし。その業界では名の知れた人物。
そして私と同じ自営業だ。
数年前、ご主人の海外赴任に伴い、一年間ほど家族で日本を離れることにした彼女。
それが総合的にベストな選択だと判断したのだろう。仕事も順調だったし、今のポジションから一旦離れてしまう事への不安たるや、察するに余り有る。何故ならば、私たち自営業者ってものは、一度その席から離れると秒速で他の人材に席を奪われる。直前までその席に座っていた功労者の記憶は世の中から次第に薄れていく。これが私たち自営業の世界です。
失って得る。得て失う。どの世界でも新陳代謝があってこそ物事は前進していく。誰も悪くない。
しかしまぁ、これまでの居場所を失うのはやっぱりショックなもんだ。海外での新しい生活と今までのキャリア。得るものと失うもの。いままでの彼女の居場所には、やはりフレッシュな人材が引っ越して来てきたようだ。これが新陳代謝。
ところがどっこい、彼女には新しい座席と経験がちゃんと用意されていた。彼女は聡明で堅実、人を心服させるほどコミュニケーション能力が突出している。人を不快にさせない語彙力の持ち主。そんな彼女の特性が最大限に発揮され、一年間の海外生活の中で彼女は多くの経験を得たようだ。また、彼女はその国の生活スタイルや文化を吸収し、それをブログで発信していた。どれも興味深い内容の記事ばかり。
そんな彼女を人は放って置くわけがない。海外在住の彼女に日本企業から仕事のオファーは舞い込んできた。日本企業の海外支社での仕事や、一時帰国してショットの仕事。子育てをしながら新たな仕事スタイルを確立していった。海外生活を選んだ事で得られたキャリア。
一年後に帰国し、彼女は華麗に現場復帰している。以前の座席ではなくなったけれど、そこを手放した事で寧ろキャリアアップしたんじゃなかろうか。本人はどう思っているのかはわからないけど。
得るものと失うもの。この経験を紡ぎながら確実に良いキャリアを積んでいる。彼女は彼女なりのセカンドチャンスを掴んでいる。
これまでの実績、人柄、対応力、切り替えの早さ、適応力、誠実で謙虚。これを持っている人の人生は絶対に崩れない。彼女を見ていて思います。
で、かく言う私はどうなんだ。のん気に友人の話を綴っている場合ではないのだけれど。
振付、演出、TVやラジオ、書く仕事、ご縁があってBoAさんの音楽プロデュース。私は色々な景色を見る機会に恵まれた。時を経て、現在はスタジオ経営と運動指導の仕事をしている。エンタメ時代のような収入は無いが、今とても幸せだ。それと同じ分だけ先行きは不安だ。
そうやって「幸せ」と「不安」二つの感情を紡ぎながら楽しく暮らしていると思う。
人生はセカンドチャンスに溢れてる。
彼女が冗談交じりに言い放ったこの言葉は、私にとっての励みだ。
2月でLIMは4周年目を迎えます。華々しいオープニングセレモニーをやったわけでもなく、模索と勢い、つまり何が何だかわからない状況でスタートしたので、セレモニーなんて以ての外、オープン日ってものすら決めていなかった。なので、最初に知人の体験トレーニングをした日を「オープン日」と設定することにしました。それが2017年2月21日。よくもまぁ続いたもんだ。牛歩ではあるけれど、少しずつスタジオの存在を知ってくださる方が増え、働いてくれるトレーナーも私を入れて4人になった。本当に感謝だ。もちろんいつだって経営は悪戦苦闘。小商いなんてそんなもん。
途中、食品事業にも手を出して芳しくない結果で幕を閉じたこともある。周囲の人を巻き込んで迷惑をかけてしまった。戦犯の私が言うのもどうかと思うが、その失敗で多くのことを学べた。そこで得た知識と経験は確実に自分自身の肥やしになっている。だからそれでも尚サポートしてくれている仲間には感謝しかない。
4周年目を迎えても、まだまだ模索の日々です。ずっと身を置いていたエンタメ界から離れて、一から新しいことを始めたわけだから時間はかかるに決まってる。成功には程遠い現状ではあるが、今までと同じ環境に胡座をかき、無理やり自分の居場所を見いだそうとするよりも、新しい試練と景色を見られている現在の方がよっぽと生きている実感が湧いている。40代になってもいくつになってもセカンドチャンスは溢れてる。そう思いたい。
このブログを綴っている途中、今から10年前にプロデュースしたBoAさんの「I SEE ME」という曲を思い出した。
・成長と共に得るものと失うもの
・そこに伴う感慨深さやセンチメンタルな想い
当時、これをテーマに楽曲を作りたかった。楽曲提供と作詞をSTY氏に依頼し、こちらが望む楽曲の方向性、歌詞の内容と構成、アレンジのイメージを資料にまとめ、何度かやり取りをさせていただき、それをSTY氏はとんでもない絶品に仕上げてくれた。手前味噌ですが、実にいい曲だ。
人生はセカンドチャンスに溢れてる。