やっと、バトンは渡された

私は図書館の常連である。居住地域の図書館のサイトから読みたい本を検索して予約しておけば旧作なら殆どの書籍が翌日くらいには手に入るので非常に便利。私にとって税金の納め甲斐がある公共サービスNo. 1は図書館だ。

もうひとつ。私はモノが少ない状態で暮らすのが好きなので、本は読み終わったら保有せず手放したい。図書館利用なら読んだら返却すればいいし、また読みたくなったら借りればいい。持ち出しはできないが図書館内では雑誌も読み放題。月額使用料(=税金)を払って好きな書籍をいくらでも読める図書館はまさに公立のサブスクリプション。それを利用しない手はないでしょう。但し、著者が知人だった場合、その書籍に関しては書店で購入し拝読するという勝手なマイルールを作っていることを念のため補足しておく。でも読んだら手放しちゃう。すまん。

そんな便利な図書館ではあるが、新作や超人気作となると予約人数も多発し、なかなか順番が回って来ない。そして予約したことすら忘れかけていた頃にフラ〜っと順番がやって来る。それもまた図書館利用の醍醐味。

さて、昨年の8月に予約した本の順番が先日やっと回って来た。待つこと1年。
その書籍がこちら。

やっと、バトンが渡された。リレーしすぎて表紙が少々お疲れの様子。

予約をした時点で1000番代だったから覚悟はしていたけど、一年かかってやっと手元に。あまりの嬉しさに一気に読んだ。

ネタバレしない程度にあらすじを綴ると、血の繋がらない「親たち」の間をバトンのように渡り歩き、名字が4回も変わる家庭環境で育つ主人公(森宮優子)の幼い頃から巣立つまでの物語。しかしながら全くもって悲劇の物語ではなく、むしろ幸福感しか得られない素敵な作品。優子は全ての「親たち」から惜しみない愛情を受け注ぎ、彼女もすべての「親たち」を愛していた。
もうね、ラストの章では嗚咽三昧。大事件も起こらなければ、劇的な展開もあるわけではない。親子のやりとりとその日常が穏やかに描かれ、紡がれている。それだけでこんなにも幸福感に溢れる涙を流せるなんて不思議だった。名字が4回も変わるような家庭環境の複雑さは、この物語の主軸でもなんでもない。それから食べ物の描写がどれも美味しそう。それもまた幸せな気分にさせてくれる。幸福感に包まれたい人には是非おすすめしたい作品。

市区町村によると思うけど、私の居住地区の図書館で予約すれば2021年の今頃には読めるかも!

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