便利な暮らしの落とし穴を埋めていきたい

納得いかん!納得いかんぜよ!

坂根くんが担当している80代の女性クライアントが、大手携帯会社が発行しているクレジットカードをキャリアショップで店員に勧められるがまま作ってしまった話だ。しかも年会費1万円のゴールドカード。

坂根くんの話によると、事の発端は以下の通り。
80代女性クライアント(=Aさん)は、現在使用している携帯電話の充電器が壊れたので新調するために地元のキャリアショップへ出向いた。用件は「充電器を買いにいく」だたそれだけ。そこで接客をした店員がAさんにクレジットカードの入会を勧誘し、その場で契約をしてしまったのだ。「何となく断れなかったから・・・」だそうだ。

そのカードの特典を調べてみたところ、毎月の携帯料金1,000円につき10%のポイント還元や、国内・ハワイの主要空港ラウンジ利用が無料、電子マネーの利用が可能など、様々な特典がついてくるようだが、Aさんの暮らしの中では全く恩恵を受けない特典ばかりだ。
Aさんは携帯操作に明るくないし、ほとんど使わない。そのAさんが電子マネーなど利用するはずもない。コロナ禍で空を飛ぶ機会などない。

流れとしては悪徳性もない営業だし、無理やり契約させられたわけではないのだけれども、想像してみて欲しい。例えば、スマホ機種変の時にあの手この手でオプションを持ちかけてくるあの煩わしさは、大概の人が経験していると思う。契約の説明だって小難しい。若い世代の私たちだって何となく複雑に感じるあのキャリアショップでのやり取りは、シニア世代だったら尚更だろう。

この話の結末をいうと、坂根くんがAさんにカードの解約手続きを提案し、解約することができた。入会したゴールドカードをAさんが所有することにメリットがない理由を一つ一つ説明したうえで、解約しにいく提案をした。ご本人がきっちり理解し納得した上で、解約手続きが無事完了した。そのプロセスが何だかんだややこしかったようだが、解約できてよかったと思う。

言われるがままに入会してしまったAさんにも問題はある。店員も営業成績を作るために必死なのもわかる。しかし、その店員はAさんが本当にそのゴールドカードの恩恵を受けられると思って勧めたのだろうか。もし本当にそう思って勧めたのなら接客業としての想像力が乏しすぎる。自分の手柄のために高齢者のAさんを利用しただけなら、その人はいつか大失敗をするだろう。

ノルマがあろうがなかろうが、店側も相手を選ぶべきだ。私のような人間にはいくらでも勧誘すればいい。必要ないものと判断すれば秒でNOと断るから。頑張って私を口説け。

今回のクレジットカードの件しかり、私たちが便利と感じる物や事がシニア世代にとっても同じとは限らない。ただ、シニア世代の皆さんが私たちと同じように文明の利器を存分に活用できればもっと暮らしが快適になるだろうと思う。シニアの方々がテクノロジーと上手く付き合える暮らしが定着することを願う。それには私たち若い世代が環境を整えていくと同時に、シニア世代の方にも歩み寄ってもらうことが必要だが、まだまだ時間はかかるだろう。45歳の私がフワちゃんの面白さを理解するのに時間がかかっているように、文明開化に馴染むには時間がかかる。

テクノロジーの進化に伴うシニア世代の暮らし方について考えさせられた。

前へ
前へ

骨盤底筋、上手く使っていますか?

次へ
次へ

フレイル予防