【Instagramアンケート結果報告】中高年ダンスの壁と、私の答え

先日、おこがましくもInstagramのストーリーズで、中高年世代の皆様へ向けて、一つの質問を投げかけてみました。


ダンスに興味はあるけれど、始めることに壁を感じるとしたらどのようなことですか?

皆さんの「ダンスを始めてみたいけど、ここがねぇ…」という本音を聞いてみたかったのです。想像以上にたくさんのレスポンスをいただきまして、ありがたいことです。
蓋を開けてみれば、んまぁ〜出てくる出てくる。「そりゃそうだよね!!!」と膝を打つようなお悩みばかりでした。皆様の心の声、しかと受け止めました。
今回のアンケートで特に多く寄せられたお悩み、ベスト3は以下の通りです。


第1位:年齢層や周りとの関係性への不安

例えば、「若い子に混じって浮かないかしら」「下手な自分が足手まといになるんじゃないか」「同世代の人がいるか心配」など、周囲の目や環境へのナイーブな声が目立ちました。

第2位:身体的な不安・体力への懸念

膝痛、腰痛、身体が動くかどうかといった、加齢による身体のコンディションや体力への心配が挙げられました。

第3位:初心者ゆえの不安・習得への懸念

「リズム感がないから」「覚えるのが苦手だから」「ダンス経験ゼロからのスタート地点が分からない」といった、未経験者ならではの戸惑いや自信のなさが多く見られました。


中でもダントツだった第1位の「年齢層や周りとの関係性への不安」。

こればかりは、どんなに「気にしなくていいですよ!」と口で言ったところで、そう簡単に割り切れるものでもないですよね。
年齢を重ねるごとに、自意識なのか何なのか、変なプライドと臆病さが同居し始めてしまう。なんとも厄介な心の機微。私、本当によく分かります。

場面は少し異なりますが、このような悩みは私自身もエンタメ業界で長く活動してきた中で痛いほど経験してきました。
若い才能が次々と現れるエンタメの世界で、長くキャリアを重ねてきた身として、彼らと同じ土俵に立つことへの戸惑い、体力やトレンドへの追随、そして「今の自分に何ができるんだろう?」という問いは、正直、時に厳しいものでした。そんな葛藤から、一時期は業界から少し距離を置き、自分が本当に届けたいダンスの形を見つけるまでに、ずいぶん時間がかかったのも事実です。

今の若者が発信する勢いや輝きはもちろん素晴らしいもの。
しかしながら、それを横目に自分の現在地を測り、「もう無理かなぁ」とため息をついてしまうような気持ちになることも多々ありました。
今の自分の年齢や身体面、立場といった条件の中で、どんな「私らしい付加価値」を見出せるのか。その答えを見つけるのは、簡単なことではありませんでした。

そして第2位の「身体的な不安」。

「膝がね…」とか「昔無理して痛めた腰が…」といった、身体のコンディションへの懸念も、切実な声として響きました。
歳を重ねれば、誰もが何かしら「肉体的弱点」を抱えるもの。若い頃のように無茶が利かないと悟った分、新しいことへの一歩は慎重になる。当然の理屈です。
無理なく、長くダンスを楽しむには、まずそこが何よりも大切なはじめの一歩だと思います。

さらに第3位の「初心者ゆえの不安」
「リズム感がないから」「覚えるのが苦手だから」。お気持ち、よく分かります。なぜ人間は、自分が不得意なことに対して、これほどまでに羞恥心と後ろめたさを抱く生き物なのでしょうかね。
ダンスなんて、究極、誰かの評価のために踊るものではないはずなのに、その一歩がなかなか出ない。なんとも業が深い話です。

それら様々な要因を踏まえて、私はこう思うのです。キレや体力だけがダンスのすべてではないと。私たち中高年には、私たちにしか出せない「味」があるはずです。無理に背伸びせず、今の心身で表現できる「粋」なアプローチ。
それこそが、これからの大人のダンスの醍醐味なんじゃないかと本気で思っています。
「踊ってる風シリーズ」を始めて間もないですが、私自身が改めて実感しているところです。
ダイナミックで高速で高度なテクニックのダンス。確かにそれは格好いい。
でも、まぁね、それはさておき、ただ、音楽に合わせて体を揺らすことの純粋な楽しさ。これって、年齢も経験も関係なく、誰にでも与えられた特権のはずです。その特権は使った方がお得。

考えてみれば、いつか今の若い世代も、私たちと同じ年齢に差し掛かります。そして、かつて私たちも、彼らのように輝く時代を過ごしてきました。時代が若者によって作られていくのは当然の摂理。だからといって、若者ではない私たちの日々が、ここで終わるわけでもありません。 ならば、私たちの居場所は、私たち自身で作っていくしかない。そう思うのです。
特に私たち中高年は、まだその「居場所」がはっきりしない、いわば過渡期なのかもしれません。

私自身は、その居場所を「踊り」、否、「踊ってる風」という形で提供したい。そう考えています。とはいえ、実は団体行動が苦手で、みんなでワイワイが得意なタイプではありません。なので、私のようなタイプの方も、それなりに楽しめるニッチな場所があればいいな、と。

話は少し変わりますが、例えば80〜90年代にNew Jack SwingやR&Bを牽引したレジェンド、Teddy Riley。あるいはティーンを熱狂させたアイドルグルーブ、New Kids On The Block。彼らの今の活動を目にするたび、深く考えさせられます。
かつての圧倒的な輝きを追い求めたり、あるいは最前線でヒットを追いかけたりするという意識でやっているわけではないのでしょう。今の年齢や立ち位置を活かし、同世代のファンが無理なく楽しめる形で音楽を届け続けるその姿。それは決して若作りなどではなく、彼ら自身の歴史と今を「粋」に融合させているように映ります。

彼らのようなスターがそうやって私たちをまたときめかせ、励ましてくれる。そのことにどれだけ勇気づけられることか。
だからこそ、私たちも自身の「今」を肯定し、心から安心して楽しめる居場所を、私たち自身で作っていくことが大切だと強く感じています。
そんな気持ちが、私の活動の根底にはあります。

そんなわけで、みなさんからいただいたお声を無駄にするわけにはいかないと、重い腰を上げつつある次第です。まずは都内で準備を進め、ごく小規模なワークショップから企画してみようと思います。
対象は、まさに今回お悩みを寄せてくださったような、ダンス完全初心者の皆さん。難しいことは一切なし。「ただただ楽しかった!」それだけを持ち帰ってもらえるような、そんな時間にしたいです。

具体的な場所や日時、内容を詰めていく上で、またInstagram経由でお伺いを立てることがあるかもしれません。

その際は、ぜひまた、忌憚のないご意見を聞かせていただけると嬉しいです。皆さんの声こそが、私の一番の原動力ですから。

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