新手のオンラインショッピングを編み出した。〜高齢の両親が近くに住んでいる私のケース〜

スタジオを臨時休業し、在宅生活が始まって二週間が経過しました。

1円も生まないまま1ヶ月間も在宅かぁ。
ま、何年も長期休暇を取っていなかったし、このタイミングでゆっくり休むのも良かろう。

そう思っていたはずが、意外とやることは多かった。
むしろこのタイミングだからこそ着手できる仕事に集中できているのは不幸中の幸いかもしれない。
そうやって今やるべき仕事を粛々とこなしながら、私は思いの外充実した在宅生活を送っています。もちろん経済面の不安は尽きないけど。

不要不急な外出については、正直なところ今までの生活と然程変わらず。
以前から外食もしなければイベントやパーティーにも無縁な生活を送っている私には、現時点では外出自粛のストレスに苛まれることもないようです。

がしかし、そんな私でも足繁く通っていた「レジャー施設」は存在します。
スーパーマーケットです。厳密にいえばスーパーオオゼキ。スーパーの店内を物色する行為は私にとって日常の楽しみのひとつであり、立派なレジャー施設!
たとえ自宅に食材ストックがあっても、特売品に巡り逢う悦びを噛み締めたい一心で仕事帰りにパトロールするのが日課でした。
ただ、現在は三密を避けるために3~4日に1回のペースまで通う頻度を減らし、比較的空いている時間を狙って買い物をしています。


私の両親が暮らす家、つまり私の実家は、現在私が暮らしている場所と同じ沿線上にあり、会おうと思えばいつでも会える距離にあります。
仕事の帰りに実家へ顔を出し、スーパーで買い物して帰宅するというルーティーンが週二回くらい。

しかし、ウイルス感染の心配もあるし、いまは高齢の両親との接触は極力避けなければいけない時期。なので現在はルーティーン休止中。
もしかすると私は保菌者かもしれない。そう思って自身の行動に制限をかけています。

私の父は83歳になりますが、文明の利器に強いほう。オンラインショッピングなどパソコンで卒なくこなしてしまう。私たちの世代はオンラインショッピングなんて当たり前の手段かもしれないけれど、高齢者にとっては「未知の世界」です。あの年齢で文明の利器を使いこなせている父はなかなかのものだ。今は三密を守ってオンラインでレトルト系の食品や生活雑貨を購入しているようです。

とはいえ、生鮮食品も購入したいところ。ここは料理をする母の領域。
今はイトーヨーカドーなどでも生鮮食品のネットスーパーをやっているので、母にはそういうサービスを積極的に利用してもらいたい。しかし、食材を宅配してくれるネットスーパーは、このタイミングこそ高齢者の強い味方である反面、スマートフォンやタブレットの操作方法に慣れないとハードルは高い。
私の母はiPhoneを使っているしWi-Fi環境も整っているので条件は揃っているが、オンラインショッピングの画面操作はまだまだ難しい。
しかも、こんなご時世なのでこういったサービスの利用者数は激増しているようで、配達に時間がかかるのだとか。だからといって近所のスーパーへ足を運ばれるのも心配。
じゃ、父が代行してネットでオーダーすればいいじゃないと言えばそれまでなのですが・・・彼女だって自分の力でやり遂げたいことがある。

そこで私が苦肉の策で編み出した方法が、「新手の」オンラインショッピング。
三密を避けるために私一人でスーパーへ行き、母の買い物を代行して、二世帯分の買い物をする。母からLINEで届いた買い物リストをもとに、私が速やかに食材をピックアップして籠へ入れる。
ここまでは特に珍しくもない。

スーパーで買い物をすることの醍醐味って、その場で特売品を発見したり選んだりすることだったりする。
今はそれができない母のストレスを少しでも軽減できたらと思い、私たちはLINEのビデオ通話を駆使するようになりました。

スーパーへ着いたら母へLINEで連絡しビデオ通話開始。私は母が好みそうな食材コーナーへ向かって、陳列棚をゆっくり映して行く。
もちろん、他のお客様のご迷惑にならないよう、空いている時間に邪魔にならないようにやるのが私たちのルール。

私が陳列棚を舐めるように映して行き、母が「これ!この〇〇の納豆がほしい」「あ!今日大根安いんだね。左側のやつ、あれ1本欲しい」と私にオーダーしていく。
母の行きつけのスーパーなので、本人はどこに何があるか把握している。したがって私たちのやり取りは非常にスムーズだ。

LINEのビデオ通話画面。左上で母が品定め中。


一通り母親の買い物を済ませたらLINE通話を終了して、今度は自分の買い物をさっさと済ませる。
実家と我が家、両方の会計を済ませた後、レシートをカメラで撮影して母のLINEへ送る。合計金額を報告します。
買った食材を袋に詰め、私が実家へ配達するまでの間に清算準備をしてもらうためです。
玄関前で母親へ買ったものを渡し、お金を受け取る。家の中へは入らず、速やかに受け渡しをすませ実家を後にする。

新手のオンラインショッピングです。

会話は後でLINEでできるし、長居はしない。
とにかく密に接触しないことを心がけながら、でも母親の「自分の目で選べない」というストレスも軽減させてあげる方法を考えた結果、この新手のオンラインショッピングを編み出しました。
アナログとデジタルが織りなすハーモニー。
暫くは文明の利器をうまく活用して高齢の両親を見守ろうと思います。
その間に、少しずつネットスーパーの利用方法をレクチャーしたいところではありますが、直接会って画面に触れながらレクチャーしないと習得は難しいかもしれない。諦めるか。
少なくとも、母がスマートフォンとLINEの最低限の操作方法を把握できていて助かった。何年も根気よくレクチャーして来た甲斐があった。

もっと高齢者がオンラインを簡単に且つ安全に利用できる社会になればいいと思います。
それには私たちがそういう環境をもっと整えて、手を差し伸べていくのは当然の事。それと同時に高齢者の方も「時代の流れ」に乗っかってもらう作業が必要だと思っています。
高齢者こそオンライン。


東京都が要請した通りにスタジオを休業し、三密を避け、スーパーへの買出しも3~4日に一度。
4月22日から申請開始した感染拡大防止協力金の手続きもその日のうちにオンラインで完了させ、気が付けば私は百合子のリクエストに完璧に答えている優等生。
理由はただひとつ。1日でも早く日常を取り戻したいから。今はそれしか頭にない。

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